【概要】法律を専門にしていない職種でも、もはや「自分は担当外だから」というのは通用しません。例えば、上司からのパワハラ、在宅での労働環境なども、もしかしたらあなたの勤めている会社が違法状態の可能性もあります。ここでは、ビジネスツールとしての法律入門書についてご紹介します。

最近、法務部から契約書はまず担当部署でチェックするルールになって。
分からないことばかりだから、相談したら、門前払い。
コロナ前だったら、気軽に乗ってくれてたのになぁ。

コロナ前であれば、法務担当や詳しい人にこれから締結する契約書の相談ができていたのに、それができなくなるというのは良く聞きます。
そもそも、在宅が増えてしまうと、気軽に相談というのが難しいみたいです。

でも、法務っていう部署が仕事を放棄しているだけでは?
正直、かなりムカついています。
法律っていえば、会社の顧問弁護士も機能していないみたいだし。

昨年の働き方改革から、在宅勤務の導入。
これらで、社内の規則整備で法務担当はかなり忙しいようですよ。
同一賃金同一労働、パワハラ対応、在宅での労働環境など。
これらは、就業規則の見直しなども関わってきますし。

まぁ、もう決まってしまったルールだし仕方ないって思ってます。
たから、知識ゼロのままいつまでもいる訳にもいかなくて。
ネットで調べているんですが、法律って難しいんですよね。
なんか入門書みたいなのってありますか?

前向きな姿勢になっていたので、安心しました。
それでは、とっておきの法律入門書をご紹介しましょう。
法律に携わっていなかった人は、法律の入門書から
法律関係は、ネットで調べるのは不向きです。
ある程度の知識があって、再確認の為に、ネットで調べるのであれば大丈夫だと思いますが、
知識ゼロの状態でGoogleで調べ、一番上に出てきたものを採用
っていうのは、扱いが法律だけに危険だということは、お分かりだと思います。
もし、可能であれば、職場で詳しい人に確認するというのも一つの手段です。
ただ、自分だけかもしれませんが、最近、職場の人間関係、冷えていたりしません?
なんだか分からないですが、在宅勤務が始まってから、職場の人間関係が悪くなっているともよく聞きます。
で、他の人に頼ることができないなら、自分でなんとかしなければならない。
ってことで、自分がそうだったんですが、知識ゼロからの法律を学べる本を探していました。
ポイントは次の3つ。
・法律知識ゼロでも読むことができる
・広く浅く一通りの知識だけ身に着けたい(それほど深い知識は不要)
・最近発売した本
結構大変でしたが、ようやくたどり着いたのが、今回ご紹介する本となります。
2020年11月9日発売なので、新しい目の本です。
「ITエンジニアの」という冠がタイトルについていますが、発売元のホームページにあるように目次は次のような感じで、別にエンジニアじゃなくても読みやすいと思います。
第1章 著作権の落とし穴
- Q1-1 エンジニアに著作権って関係ないよね?
- <コラム>法令用語の難しさ よく出てくる接続詞のルール
- Q1-2 ネットにあがっているコードを使いたいんだけど……
- Q 1-3 ネットにあがっているアルゴリズムを盗用するとまずい?
- Q1-4 他のアプリケーションのUIを参考にしても問題ない?
- <コラム>特定電子メール法とは?
- Q1-5 オープンソースなら流用も改造も自由だよね?
- Q1-6 ボタンやアイコンにフリー素材を使う場合の注意点は?
- <コラム>ロイヤリティフリーとライツマネージドとは?
- Q1-7 コピーレフトと書いてある場合は著作権を主張していないの?
- <コラム>「使用規約」と呼ばれないワケ 「利用」と「使用」の違い
- Q1-8 GPLのライセンスはどう読めばいいの?
- <コラム>「コンプガチャ」は違法ってホント?
- Q1-9 画像や文章を引用する場合に気を付けるべき点は?
- Q1-10 フリー素材だと勘違いしていた……法的責任はある?
- Q1-11 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスって何?
- <コラム>写真に写りこんでいる人はどうすればよい?
- Q1-12 前の会社で開発したプログラムをそのまま使いたいんだけれど……
- <コラム>営業秘密のアルゴリズムを持ち出すと罰せられることがある?
- Q1-13 前の会社で開発したプログラムに似てきた……大丈夫?
- <コラム>リバースエンジニアリングの法的問題
- Q1-14 業務委託で作成したプログラムを次の案件に使い回すのはまずい?
- Q1-15 私のコードが勝手にブログで紹介されている……
第2章 開発契約の落とし穴
- Q2-1 ITエンジニアに関係のある開発契約とは?
- <コラム>契約自由の原則とは?
- Q2-2 契約書がないと契約は無効ですか?
- <コラム>契約書のタイトルの付け方に決まりはある?
- Q2-3 どうして多段階契約が推奨されるの?
- Q2-4 システム開発の受注者が負う法的な義務とは?
- Q2-5 発注者が開発に協力してくれない場合はどうすればよい?
- <コラム>みなし検収条項の効力 発注者が納品を受け付けてくれないときは……
- Q2-6 頻繁な仕様変更……法的観点から上手く対応する方法は?
- Q2-7 納期に間に合わず委託元から要求が来た……どうなる?
- Q2-8 作ったシステムの不具合が指摘された! 責任は誰がとる?
- <コラム>契約不適合責任と提携約款 改正民法2つのキーポイント
- Q2-9 途中で契約を解除することはできるの?
- Q2-10 発注者の一方的な理由で開発の中止を告げられた……
- <コラム>法外な違約金を要求された場合は?
- Q2-11 納品したのに報酬を払ってくれない……
- Q2-12 プロジェクト進行にあたり,文書で記録を残す必要があるのはなぜ?
- Q2-13 発注者に謝罪を要求された……謝ったら既成事実になってしまうの?
- Q2-14 元請けと下請けの違いは何? 下請けに出すときの注意点ってある?
第3章 労働関係の落とし穴
- Q3-1 私の働き方,労働基準法に違反していない?
- Q3-2 SESなのに常駐先から指示を受けた……これって偽装請負?
- Q3-3 プログラマーなのに裁量労働制っておかしくない?
- Q3-4 副業に当たって気を付けるべきことは?
- Q3-5 入社時にサインした契約書に同業種への転職禁止って書いてあるんだけど……
- Q3-6 退職時に求められた合意書にサインする必要はある?
- Q3-7 弁護士ってどうやって探すの?
- Q3-8 争わずにお互い譲歩して解決したい……
第4章 契約書の要チェックポイント
- Q4-1 法的文書のチェックはデバッグに似ている?
- Q4-2 利用規約を作る場合の注意点は?
- Q4-3 プライバシーポリシーの作り方とは?
- Q4-4 請負契約書を渡された場合の要チェックポイントは?
- <コラム>引き抜きって違法になるの?
- Q4-5 準委任契約書を渡された場合の要チェックポイントは?
- Q4-6 秘密保持契約書の要チェックポイントとは?
- Q4-7 共同事業契約書の要チェックポイントとは?
- Q4-8 雇用契約書を渡された場合の要チェックポイントは?
特に、「第3章 労働関係の落とし穴」については、自分を守る意味でも必見です。
というのも、現在は、従業員と会社のパワーバランスで従業員の方に利がある状態ですが、決算状況が出ると、おそらく、一転して、会社の方がパワーが強くなると思います。既に、リストラ等が始まっている会社も多く、既にその兆しをニュース等でご存じの方も多くいると思います。
12月決算であれば2月、3月決算であれば5月頃には、決算報告があるので、そのタイミングで、会社が強気にでる可能性が高いと感じています。
その時、急に困ることないように、この3章は、すべての社会人に読んでおいてほしい基礎知識のように感じました。
具体的に、この本を読むと法律上、アウトなことしてるなって気づくところもあったりなかったり気づくことができました。
で、考えてみれば、社内の人に聞いても、都合が悪いことは教えてくれないだろうから、この本で知識を得る意味合いは深かったと思います。
つまり、言いたいことというか、この本で得たことは、
「会社と対等になるためにも、自分自身を守る知識」
です。
実際、この本を読んで、漠然とした不安がかなり改善されましたので。
ところどころ、コラムがあるのですが、これについては、法律の初心者にはとてもありがたい知識を得ることができます。たとえば、
「及び」と「並びに」の違い
「又は」と「若しくは」の違い
P15
って、みなさん、分かりますか?(それらの説明はP15にとても分かりやすく書いてありますよ。)
さらに、ITエンジニアの方であれば、次の内容は、気になるところだと思います。
前の会社で開発したプログラムをそのまま使いたいんだけど……
P58
例えば、これが退社時の誓約書でNGだとして、次の内容はセーフでしょうか?
前の会社で開発したプログラムに似てきた……大丈夫?
P62
こういった、身近なQ&Aでどんどん進行していきます。
ね、法律の初心者でも、興味があるし、気になるでしょ?